時代とともに進化するロッカー

フリーアドレス化で高まる需要

最近は自分のデスクが決まっていない「フリーアドレス」化が各企業やオフィスで進んできています。それに伴い、パーソナルロッカーの需要が高まっている傾向があります。自分のデスクがないため、ノートパソコンや筆記用具などの業務ツールを、すべてロッカーに収納するためです。

そんなパーソナルロッカーに求められる機能としては、当然ですが「収納力」が挙げられます。ノートパソコンのような大きいものから、電卓や筆記用具などの小さな収納まで、デスクに収納してものを収納するだけの「収納力」は必要と言えるでしょう。

パーソナルロッカーに求められる他の機能としては、やはり「防犯性」でしょう。小物などはともかく、データが詰まったノートパソコンなどは第三者に見られたり盗まれたりしないよう、しっかりしたセキュリティが必要です。当然鍵や合鍵付きのロッカーが必須です。通常のギザギザした鍵ではなく、簡単に開けられないディンプルタイプのロッカーや、簡単に壊せないロックシステムのものもいいでしょう。

最後に求められるものとしては「デザイン」です。フリーアドレス化のオフィスとの調和がとられているのはもちろん、邪魔な場所にあったり見た目で違和感があるものは、マイナスとなってしまうでしょう。


合鍵不要のロッカーも人気

前述したフリーアドレスにも対応したロッカーは、各メーカーからも色々と製品が出ています。防犯性の面では、合鍵不要のダイヤルロック(自分で決めた暗唱番号で施錠・開錠ができるため、合鍵を持つ必要もなく紛失の心配もなし)、ほぼ同様の機能を有するプッシュオートロック(ダイヤルではなく任意の番号を押して施錠・開錠をおこなう)、ICカードロック(登録済みのICカードをかざすことで施錠・開錠をおこなう。ダイヤルロックやプッシュオートロックと違い、番号忘れの心配もありません。また、ロッカー内部にも工夫が凝らされたものが多くあります。収納力を最大限に高めるために扉の内側をポケット対応にしたり、ノートパソコンやタブレット収納時にそのまま充電できるよう、電源が設置されているものもあります。


ロッカーの代わりにワゴンを使うオフィスも

オフィスのスペースなどにもよりますが、パーソナルロッカーではなくモバイルワゴンを用意する企業もあります。個人のものをすべてモバイルワゴンに収納しておき、フリーアドレスで決まった自分の席にモバイルワゴンを持ってくれば、必要なものがすべてそこにあるので楽ちんです。パーソナルロッカーのように、不足したものや必要なものを都度都度ロッカーに取りに行ったりする必要がありません。もちろん、モバイルワゴンにも防犯性を考慮した収納は必要です。それが合鍵不要なタイプが良いのか、鍵付きの収納が何ヶ所必要か、などをしっかりオフィスの環境と合わせ決めていけば良いでしょう。


日本初のコインロッカー

日本で初めて設置されたコインロッカーは、東京オリンピックが開催された1964年(昭和39年)の12月15日、新宿駅の地下に設置されたものでした。それまでは、手荷物は駅にある手荷物預かり所で有人による対応だったため、セルフサービスでのコインロッカーの登場は使い方などを含め最初は多くの人たを戸惑わさせました。その後、コインロッカーの利便性が理解されると、スキー場やプールなど多くの人が集まる場所に設置され全国に普及し始めました。

日本初のコインロッカーは、大手鍵メーカー、株式会社アルファとアメリカのフレキシブル社による技術提携によるものでした。その後コインロッカーのオペレーションとアフターサービスを専門に扱う株式会社アルファサービスを1976年に設立。さらに2005年には株式会社アルファサービスとロッカーシステム部門が事業統合され、株式会社アルファロッカーシステムが誕生しました。

ロッカー初登場後、ロッカーは進化を続け、合鍵不要のキーレスタイプのロッカーや、貴重品を収納するためのフリーボックスが販売されます。この貴重品ボックスと言われるフリーボックスは、全国のゴルフ場に普及します。それまでのゴルフ場ではお客様の貴重品を一つ一つ紙袋に入れて有人で預かっており、この貴重品ボックスの登場で、フロント業務の省人化とセキュリティ強化となりました。さらに1992年ごろにはマンション向けの宅配ボックスが登場したり、携帯電話・ICカード対応のロッカーなども2000年以降に登場。「荷物を入れる」ロッカーは時代に合わせて進化を続けています。特に公共の場や不特定多数の人間が使うロッカーは、紛失や発注の必要がない合鍵不要タイプが主流となってきています。